「K.I君とバレンタイン」の後編です。

 

 

 

 

 

 

K.I君は、中学3年のとき、生徒会長であり野球部の主将でもあった。

 

 

 

 

わたしがソフトボール部であったことは前回に書いたけど、

わたしがソフトボール部に入部したのは小学校の時に知ってた先輩がいて、

「入り入り~」と言われ安易に入部したのが地獄の始まり、鬼練習・イケズな先輩・鬼顧問が辛過ぎて辞めようにも辞める勇気もなく一層死んでしまった方がマシだと思い家の階段の一番上から落ちようとするも勇気がなく下から5段目から「えいっ」と滑ってみて「足折れたかも~~~」と引きずった演技をして何とかして学校を休もうとして、母が怒りでカンカンで整形外科に連れて行ってくれた医院の医者がスケベそうな男前だったのは、また別の話。

 

 

 

 

しかもわたしは野球のルールもまともに知らず、結局3年に引退するまでゲッツーの意味がわからないまま「どうかボール飛んでこないでください。来られたところで怖くて取れないし取れてもどこに投げたらいいかわかりません。」と神に願い続けながらライトに立っていた。

 

 

 

 

そう、何やかんやで3年間辞めずに続けた地獄のソフトボール部は、

2年の夏に先輩が引退してからちょっと楽しくなって来て、自分たちの引退試合の日は号泣していた。笑

 

 

 

 

で。

わたしはいつまでも下手だったのでずーっとライトだったのだけど(野球と違いソフトボールの・・・特にわたしのライトは”ライパチ”のライトなのでした。意味が解らない人は誰かに聞いてください)

ノックの練習の時に、同じ運動場で隣で練習しているサッカー部の更に隣の野球部の一番遠くでキャッチャーしているK.I君の小さな小さな影を眺めることができて、「ライトで良かった~」と思う瞬間だった。

内野は忙しそうだったから。ゲッツーとか盗塁を刺す練習で。

 

 

 

 

で。

中3のバレンタイン。その頃は、受験も近づいていて、K.I君はわたしよりも偏差値の高い高校を受験することは分かっていた。

 

 

 

例年通り、K.I君の家まで届けに行き家から出てきたK.I君が「ちょっと入る?」と言ったのだった。

この「ちょっと入る?」は、もちろんK.I君は、文明開化の音がする散切り頭女子に対して下心なんてなく、例えるなら「まあ立ち話も何やから玄関で良かったら」というアレなわけで、

もしかしたらご近所さんに散切り頭にチョコもらってるのを見られるのが嫌やったんかもしれんし

おかあさんが「寒いから入れてあげ」って言わはったんかもしれんし、

何でそんなことになったんかは不明やけど、とにかく散切り頭はほんまに幸せだった。

 

 

 

お言葉に甘えてお邪魔すると、入ってすぐリビングか台所か忘れたけど、

テーブルと椅子があってK.I君は椅子に座って「(受験)北高やんな?」と世間話を始めた。

「うん」と答えたあと、そわそわして、間がこわくて「そうや!食べてみて!」と、渡したお菓子を食べてもらうことにした。

 

 

 

 

 

本題はここからなのです。

 

 

 

当時、わたしは古畑任三郎にめちゃくちゃハマっていて、今泉君を演じる西村雅彦の大ファンになり、

西村雅彦の似顔絵を描いたりファンレターを送ったことがあった。(似顔絵は送ってません)

 

 

 

 

 

木村拓哉が犯人の回があり、遊園地の観覧車に爆発物をつけるという話。

この頃の古畑には小林隆演じる向島君が毎週登場して、事件現場に古畑が到着したときに向島君が古畑を尊敬した感じの絡みをしていた。

そしてキムタクの回のとき、現場に着いてすぐの古畑に向島君が差し入れのクッキーを渡し、

その場で古畑が食べるとクッキーの中から何か出て来て

「何!?何か入ってるよ!?」と口の中からくちゃくちゃになった紙切れを取りだす古畑に向島君が「はい!おみくじクッキーです!」と笑顔で答え、紙切れには”ラッキーカラーは赤”と書いているシーンがあった。

 

そして、よくドラマとかである爆発物を解除するときの「青か、赤か!?」の選択のときに、

古畑は「赤」を選び、無事に事件解決するという、神回があるのです。

 

 

 

 

 

はい。

ここまで読んで、察した方もいらっしゃるかと思います。

 

 

 

 

 

 

その古畑のエピソードが好きすぎて、散切り頭のわたしは、

心から純粋に好きだったK.I君に、手作りしたおみくじクッキーを食べさせたのでした。

紙切れが入り込んだクッキーを。

ほんでまた、おみくじに書いた言葉が、何かこれが一番死ぬほど恥ずかしいんやけど、

K.I君が野球好きということで「ホームラン」とか「ヒット」とか書いていた。

 

 

 

 

 

 

わたしに「食べてみて」と言われ、目の前で食べてくれたK.I君。

少しもぐもぐして「・・・?・・・・・・?何や、これ・・・」と言いながら

ほんまに田村正和と同じ顔で紙を取り出していた。

 

 

 

 

 

「おみくじクッキーやで…へへへ」と笑うわたしに、K.I君は嫌な顔ひとつせず「お前な~…”ホームラン”…ありがとう」と言って笑っていた。

K.I君はほんまもんのいい子でした。

それに引き換えわたしは、なんかこれ書いてて自分のキテレツさに笑うの越して何か腹立ってきた。

ヤバすぎる。

よう、へんな犯罪せんとここまで生きてきたな…

 

 

 

 

K.I君のおかあさん、大事な息子さんに妙なクッキー食べさせて、本当に申し訳ありませんでした。今、自分の息子がそんなんもらってきたら、間違いなく捨てさせるやろうな…

K.I君も、私が帰ってから残りのおみくじクッキーは即捨てたことと、

わたしの存在の記憶が消えていることを、

切に願います。

 

 

 

 

 

 

今夜もお別れの時間がやってきました。

また次回。

おやすみなさい。